なぜ無肥料・無農薬のお茶作りにこだわるのか

なぜ肥料も使わずに、農薬もやらずにお茶を作っているんですか?
どういうわけで自然農法なのですか?
何か見えないものを信じるタイプの人ですか?(要するにスピリチュアルですかという質問)
そもそも肥料やらないとお茶なんかできなくないですか?
虫とか病気とか絶対すごいですよね?
草とかどうしているんですか?
肥料なしだと色とか艶とか悪くなるし、旨味とか皆無でしょ?
しかもお茶揉みにくくないですか?

などなど普通のお茶農家さんがする慣行農法(化学肥料・農薬を使用)をしているとまず聞かれないことを私たちはよく聞かれます。

なぜ自然農法(無肥料・無農薬)なのか。

それは率直に言って、まだほとんどの人がやっていないからです。むしろできていないからです。誰もやっていないこと、しかもそれによって失敗するか成功するかわからないことが素直に私たちのモチベーションになるし楽しいのです。

他の後付けの理由は3つあります。

一つ目は、出会いはTEA FACTORY GENを始める数年前でした。各県から自然農法のお茶を一通り取り寄せて全て飲みました。今まで旨味があるお茶を最上級と思っていた私は自然農法のお茶を飲んだ時に「なんだこれは、全然旨味がなく、まろやかではないじゃないか」と思い、すぐ飲むのを止めました。
そして数日後またお湯を入れて飲んでみるとスッと体に入り込んでいく感覚を覚えました。2回目の「なんだこれは」でした。

いわゆる「良きお茶」はたくさんは飲めません。口中をぐるぐると巡りながら喉から胃へ入っていきます。そして後味はラーメンを食べた後のような舌が少しピリピリして麻痺するような感覚です。これが普通だと私は思っていたのです。

それが自然農法のお茶は口中は巡らずにスッと鼻から息を出した時に、すっきりとした香りがするのです。そして微塵もピリピリせずにスッと喉を通っていく爽快感が感じられました。そして余韻が長いのです。

この時の感動は今でも忘れられませんし、今思えばこの体験が自然農法でやろうと決心させてくれたタイミングだったのかもしれません。

二つ目は、慣行農法のお茶作りが環境への負荷をかけ、生態系を崩しているということです。
私は農家さんに就職するまでお茶作りがどのようなものなのか全く分かっていませんでした。たくさんの化学肥料を使うことで、虫や病気にかかりやすくなり、農薬が必要になってしまいます。お茶が吸いきれない肥料成分は土壌に流れ地下水を汚染します。農薬は散布する人や生態系を崩し、土地の微生物を殺し不毛な土地にさせてしまいます。とても香り高く、旨味が強く、消費者がとても驚くようなお茶を生産者が作ったとしても、大地を汚染することに無頓着ではいけない時代になっていると思っています。

三つ目は、この場所(広島・世羅・尾道)でしかできないお茶作りをするためです。お茶の仕事に何年か携わった頃でした。「あれ?これどこのお茶だっけ?」
微妙な差は産地間でもちろんあるし、品種間の違いは明らかなのですが、、鹿児島で作るさえみどりと、福岡八女で作るさえみどり、京都宇治で作る玉露のアサヒ、福岡八女で作る玉露のアサヒはそんなに違いはわからない。といいますか、お茶に携わらない人は絶対わからないと思います。
つまり産地が変わっても品種が同じだと違いがそんなにないのです。それは産地間で同じような栽培方法・施肥設計をとっているからです。つまりは肥料の味がお茶の味にかなり影響しているのです。
私はその時に、肥料をなくしたらその土地のミネラルや成分が如実にお茶に現れ、そこの大地の味がお茶にそのまま現れどこの産地とも違う味・香りが実現できるのではないかと思ったのです。

もちろん肥料と農薬をやらないという選択肢は異常だと、知り合いの農家さん達からも何度も助言をいただいていますが、それにもまして私たちはなんとしてでも自然農法に拘って、常識を覆したいのです。

以上が私たちTEA FACTORY GENが無肥料・無農薬の自然農法にこだわる3つの理由でした。